Member 05 小松隼人

 

光と風に実直に向き合うことで生まれる新しさ

共創によるデザインを目指して」

1)実は2つの大学で!?

 

>素敵な事務所ですね(可愛いワンちゃんの出迎えあり!)

 

 小松隼人(以下小松)ー実家の店舗併用住宅として改装し ,2階

すべてを事務所として使っています.独立資金をすべてこの改装に

持っていかれました .

 

>え?この大胆な吹き抜けは最初からあったのですか?

 

 小松ーそうです.両親の友人に設計士さんがいたらしく、その方

に頼んで建てたと聞いています.おかげさまで、家の7割が吹抜け

なので、夏暑くて冬寒い家でたくましく育ちましたw.

 

>とすると、小松さんは広島出身なわけですね?

 

 小松ーそうです.江波育ちです

 

>なぜ、関西にある立命館大学に入学されたのですか?

 

 小松ー実は、最初は広島工業大学に入学しました.半年間だけで

すがw.建築意匠がやりたいと思って入学しました.けれど、入学

してから自分が入った学科はどうやら建設 ( 土木 ) だったらしく、

建築の設計は別の環境デザイン学科の方だと気付きましたw.これ

までの人生でトップ3に入るおっちょこちょいです。

 

>ええ~!!では入り直されたのですね.ちょっと待ってください

w よく見ると立命館大学 理工学部 土木工学科とありますが!?

 

 小松ーさすがにちゃんと調べましたw.土木の中に設計が学べる

環境デザインというコースがあって、今度は大丈夫でした.でも、

キャンパスはてっきり京都にあるものだと思っていたのですが、こ

れも実際に行ってみたら、理工学部は滋賀県のびわこ・くさつキャ

ンパスでしたw.最初は大学の近くに暮らしたのですが、やはり京

都の街が恋しくて、その後は三条柳馬場に引っ越しをしました.

 

>洛中のど真ん中ですやん~w

 

 小松ーそこで大学では決して学べない色んなことを学びましたw

 

>さて、建築に目覚めたのはいつ頃ですか? やはり実家の設計士

さんとの出会いがきっかけだったりするのでしょうか?

 

 小松ーんむ~、両親が打合せをしていた場面も記憶にありますが、

その頃は小さかったので弟とふざけあっていただけですねw.もち

ろん普通の家ではないので、日々の生活の中で無意識的に影響を受

けているかもしれませんが.ルーツとして自覚しているのは、漠然

と市街地や住宅の街並を見て、格好良い建物が少ないなーと感じて

いたからでしょうか . 自分ならもっと格好良くできるのに、と根拠

なく思っていました。その流れで自然と興味を持ち始めたようなと

ころがあります.高校一年生のときには志望欄に建築と書いていま

したね.建設に入ってしまいましたが・・・

 

2)チームの要だけれど、キーパーのようなポジション

 

>どのような子供時代だったですか?

 

 小松ー中学生の頃はバレーボールをやっていました.

 

>写真のイメージと異なり、実際にお会いするとすらっと長身です

ものね.

 

 小松ーよく意外にでかいと言われますw.でも、当時の顧問には

アタッカーではなくセッターに向いているからやれと言われ続けて

いました.結局アタッカーを貫きましたが.高校時代はバンド三昧

で、担当はドラムでした.大学時代はダンスをやっていました.こ

のころ背が結構伸びていたので、前の方では全体のバランスが悪い

ため踊らしてもらえずw、一番後ろで踊っていました.

 

>多彩ですね~.でも、どれも女房役と言いますか、サッカーのキー

パーのように全体を俯瞰するポジションが多いようですね.

 

 小松ー正直なところ、どんと構えた社長タイプではないですねw.

社長は人の先頭に立って全体を見ますが、どちらかというと人の後

ろに立って全体を見る感じです . 後方支援タイプ、まさにキーパー

です .

 

3)始めたらトコトンやるアフロな学生時代

 

>大学時代はダンス三昧ということですが、建築のお勉強の方はど

うだったのでしょうか?

 

 小松ーせっかく念願の建築系の大学に入ったのですが、残念なが

ら建築の勉強を本格的に始めたのは三回生も終わりの頃からです.

それまでは社会勉強に精を出していましたw.一年生の時からゼミ

室に出入りしている学生もいましたが、横目で見ながら学生街であ

る京都で他大学の人脈づくり?に励んでいました.そろそろ、進路

を考えないといけない時期になって、1年生から意匠研に出入りし

ている人達と比べて愕然としたわけです.そこからの大学院を含む

残りの3年間はほとんど家に帰らなくなりましたね.建築漬けの毎

日でした.はじめの半年は遅れを取り戻そうとして、新建築のバッ

クナンバーを端から端まで読みました.その結果、建築にどんどん

のめり込んでいきました! 

 

>その当時、好きだった建築家は?

 

 小松ー青木淳さん、内藤廣さん、あと丹下健三さんも.後に図式

で捉えるような建築も好きになり、レム・コールハースといった海

外の建築家にも次第に惹かれていった学生時代でした.

 

>ゼミ配属では無事、意匠研に入れたのですか?

 

 小松ーこう見えて単位はきちんと取る学生でしたw.成績も悪い

方ではなかったのですが、1年生からゼミ室に出入りしている学生

に比べて圧倒的に不利でした。しかし幸運にも意匠研究室に入れま

した.ただ、その当時はドレッドヘアでしたし、研究室に入ってか

らもアフロだったのでw、最初の頃は先生は口をきいてくれなかっ

たですね~w.まあすぐに打ち解けましたが .

京都大学出身の先生が多かったこともありますが、卒業設計では打

倒京大でした.先生達は熱かったです. 

 

>大学院を修了した後、広島に戻ってこられますよね.関西や東京

でやろうとは思わなかったのですか?

 

 小松ー最初からいつかは独立したいと考えていました.あえて東

京に行かなくても広島にこれだけ多くの建築家が活躍しているのだ

から、広島という選択肢に迷いはなかったです。

 

>アトリエ事務所という選択肢にも迷いはなかったですか?

 

 小松ー大学院時代に OB 訪問をしました.建築業界の先輩達は仕

事に疲れ果てていましたw.一方広告代理店などの先輩は楽しそう

に仕事の話しをしていましたが、ここまで頑張ってきて最後に浮気

をしたら駄目だなといった考えに至りました.

また、同期の人間は、やはりゼネコンにいきましたね.大学院まで

いくとコンサルかゼネコンかといった雰囲気でした.

 

4)スパルタ?なサポーズ時代

 

>どういった経緯で、谷尻誠さん主宰のサポーズ事務所に?

 

 小松ー院生になって、いざ就職活動を始める際に、広島に一旦も

どって建築家の宮森洋一郎さん、三分一博志さん、谷尻誠さんの事

務所を順番にまわってから決めようと思いました. 

まず宮森さんのところはスタッフ募集という雰囲気ではありません

でした.ポートフォリオを見てもらった時に、宮森さんから「見応

えはあるね」とコメントをもらったことを今でも覚えています.と

いうのも、研究室の方針としてアイディアコンペを禁止しており、

研究室単位で実施設計コンペや他大学と連携してまちづくりサーベ

イをやりなさいという方針でした.ですので、ポートフォリオのボ

リュームは半端なくありましたw. 

三分一さんのところは当時の所員の皆さんもフレンドリーで良かっ

たのですが、面接を終え京都に戻った直後に連絡があって、CG が

得意なら今すぐ事務所に来ないかと言われました.全てを投げ出し

ても来る覚悟を問われた訳ですが、その頃は研究室のプロジェクト

も多く、最後までやり遂げたかったので、どうしても応じることが

出来ませんでした.

当時はまだ無名でしたが、仕事もたくさんある様子で楽しそうな雰

囲気だったのがサポーズでした.谷尻さんとは年も近く、どちらか

というと親戚のお兄ちゃんという雰囲気で、直感的にこの人だと思

いました.あと、ちょうど宮島へ行く電車の車窓から見える「大野

の家」の模型を事務所で見たことも大きかったです.

その後、時間ができれば広島に帰り、サポーズのオープンデスク生

として通っていました。

 

>当時のサポーズはどのような感じだったのですか?

 

 小松ー最初の頃は PC 講師のアルバイトをしながらサポーズのス

タッフをしていました.一般的な設計事務所の場合、最初の1年ぐ

らいは担当させてもらえないと聞きますが、入って3週間で担当を

持たされましたw。しかも、軽く笑いながら「小松君これお願い」っ

て感じでw.

当時は、事務所に設計図書などのディテールのストックもなかった

ので、みんなで雑誌とか見ながらひたすらリサーチしていました.

情報を手に入れるまで時間がかかりましたが、自分たちで考えて解

決しないと前に進まなかったので、実に勉強になりました.

 

>スパルタですね~

 

 小松ー当然何も分からないのに一人で現場に行って、工務店の方

とやり取りしないといけないわけです.スパルタといえばスパルタ

でしたね~. 現場では監督さんや業者さんに納まりのノウハウを教

えてもらうこともありました.

 

5)広島建築界の恩恵

 

>なるほど、広島の施工業者さん達は、当然広島の建築家のディテー

ルを熟知しているわけですね.

 

 小松ーその有り難みをその後に痛感することになります.ひと通

り実務が出来るようになった頃、県外物件担当になりました.する

と、広島の工務店でできたことが、県外の工務店ではできないわけ

です.もしくは、できてもコストが高い.ですから、独立してから

は特に何でもかんでもディテールづくしな建築は自ずと避けるよう

になりました.ここさえ押さえておけば良いといった設計を目指す

ようになっていきました.サポーズに入った当初の方が、勘所が分

からない分、ディテールに力が入っていたと思います .

 

>県外物件担当時代の作品を紹介してもらえますか?

 

 小松ー担当した中で1つ挙げるとすれば、「北鎌倉の家」が一番

好きです.意匠と構造のバランスがよく、考え方が明快で気に入っ

ています.

まず、この住宅の最大の特徴(問題)は敷地の真ん中に擁壁がある

ことですw.高級な住宅が立ち並ぶ地域なのですが、完全に売れ残っ

た土地でした.隣の竹林もセットで販売されていたほどです.この

擁壁に対してどうしたと思いますか? 土木工事のようにコンク

リートシャフトと鉄骨梁で橋を架けて高低差のある敷地を繋ぎまし

た.つまり、擁壁に対して建築が一切触れないといった解法に至っ

たわけです.とても明快な解き方ですが、空間的にも美しい!と自

負しています.

サポーズは建築的な意味でより戦略的にモノをつくろうとしている

ように思います.この時もかなり戦略的だったと思いますが、暮ら

しもちゃんと両立できたところがとても気に入っています.

 

6)アイデンティティを探しながらの設計活動

 

>独立されてからは順風満帆だったのでしょうか?

 

 小松ーサポーズを辞めて、最初は本当に仕事がなかったです.そ

れを聞きつけた母校の先生が助手として大学に戻ってこないかと

誘ってくれました.給料も出るし、事務所は構えたままでいいぞ!っ

てw.その内容に心が傾きかけていたとき、ありがたいことにサポー

ズ時代に担当した「松山の家」で付き合いのあった工務店から設計

の相談をいただきました. 

 

>愛媛の仕事が多いのはそのためですか?

 

 小松ーそうですね.今治か松山に事務所を移転した方がよいので

はとよく言われます.「松前の家」という松山の郊外の田園風景に

スクッとたった真っ白い住宅があるのですが、これが道路からよく

見えて目に留まるらしく、広告塔になってくれています。

松山には設計事務所も多いのですが、ほとんどが年配の方なので、

若い建築家となると工務店が広島から探してくるケースが多いよう

です.

 

̶

 

松前の家 (2011.11/ 住宅 / 松山)

 

>ズバリどのような建築をつくりたいですか?

 

 小松ースケールがミクロでもマクロでも関係なく、条件に合わせ

ていかに心地よい光と風を通すのかを考えています。建築として基

本というか根源的というか.空間的な新しさが先に立つのではなく

て、光と風に実直に向き合うことで生まれる新しさは理想的ですね。 

 

>逆に、嫌いなテイストは?

 

 小松ー条件や要望を聞く前から、こうしたいということはありま

せん.もっと言えば、要望は全て叶えるというのがポリシーですw.

 

>設計スタイルとして何かこだわりはありますか?

 

 小松ー方法論としては図式的にわかりやすく考えるようにしてい

ます.また、特に住宅は問題解決型プロセスで検証しています。つ

まり敷地条件、要望を問題として設定し、それをひとつひとつクリ

アにしてきながら解決するという手法で、その解決手法に特徴が出

せればと考えています . 住宅以外の設計ではこれと真逆で、まず問

題発見が先に立ち、それを敷地条件や要望にフィットさせていくプ

ロセスが多いですね . まだ住宅以外の実作は少ないですが・・・

 

>具体例をあげると、どういったことでしょうか?

 

 小松ー例えば、この「松前の家」の場合(近くあった模型を手に

取って)、よくみなさんから「インナーガーデンをやりたかったの

でしょう!」と言われるけれど、そうではないですよw.東西に風

が流れる敷地条件を活かすために、温度差の違う East warm 

garden(インナーガーデン) と West cool garden を造って、強制的

に風を生む仕組みがやりたかったことです.このインナーガーデン

だけだと夏は暑いわけです.もちろん、遮熱テントで日差しは遮り

ますが、どうしても暑さは避けられない.インナーガーデンのサッ

シを開口すると、西の庭で冷された風がすーと流れます.また、

West cool garden には日陰でも育つ植物が植えてあります.もちろ

ん、インナーガーデンは冬になると温室になって暖気を送り込んで

くれます.

 

>ほう~そうなんですか!我々も誤解していました.反省しますw.

 

 小松ー造形力がないために形がシンプルになりすぎ、表層的なデ

ザインに見えてしまうところが僕の課題なんです.

 

>もしかすると、小松さんがやりたいことって、ごくごく当たり前

なことを追求することなのでは?

 

 小松ー確かに.すごくシンプルなんです.先程も話しましたが心

地よい採光、通風という、住宅が成立する基本条件を確保しながら、

要望をかなえていきたいと思っています.

(近くにあった模型を手に取って)この住宅も光をどう当てて取込

むかを考えて設計しています.庭を南と北に設けて、北庭からの光

を間接的にとるために水回りを半地下にしています.

「横川の家」はマンションのリノベーションですが、換気しづらい

奥まったところに持って行きがちなキッチンを開口部の近くに配置

しました.また欄間部分をガラスにすることで、部屋の中央部分ま

で光が届くように工夫しました.中国電力の電化住宅のコンテスト

で村上先生が評価して下さり、優秀賞を頂きました.

 

>確かにこんな明るいトイレ初めて見ました.また、小松さんの人

柄ももっとクールな方かと勝手に思い込んでいましたw.話してみ

ると真逆なので驚きですw.今までで一番話しやすいかもw

 

 小松ークールになりたいです w. しかし自分でも作風で誤解され

ているのではと反省しています.主義主張を強く前に押し出すタイ

プではないし、お施主さんの要望は全てちゃんと聞きます.現場の

トラブルもちゃんと指示しなかった自分も悪いしな~と思うタイプ

ですw.言い換えると、どうやれば、無理強いをせずに、より良い

方向に転換していくかを考えることは得意かもしれません.

また、お施主さんや工務店とも一緒につくった感やひとつのチーム

のような感覚が芽生えないと私の場合上手くいきません.

 

7)GA HOUSES 訪問

 

>一方で、分かりやすい作家性のような特長がないと、メディア上

では難しいのでは?

 

 小松ー先日、GA HOUSES の担当者の方にアポを取って、作品を

持ち込んで、売り込んできました.開口一番、「建築家としてのア

イデンティティは何ですか?」と聞かれました.同じ質問を師匠に

もしたらしく「アイデンティティをつくらないというスタンスです」

と答えたらしいです.

 

>小松さんは何と答えられたのですか?

 

 小松ー「アイデンティティを探しながら設計活動をしている段階

です」と答えたら、作風は違えども、かわし方は師匠と似てますねー

と言われました・・・やはり、明確なアイデンティティがないと掲

載してもらえない傾向にあるようです.

 

>しかし、大胆ですね~.GA にアポを取って持ち込む建築家って

他にもいたりするのですか?

 

 小松ー先方も滅多にないと言っていましたw.

 

>なぜ持ち込んでみようと思われたのですか?

 

 小松ー雑誌等のメディアは関東圏が中心で、広島から発信したい

という想いがあったからです.

GA、住宅特集、新建築などの雑誌がありますが、ある編集者から「東京でも同じようなものがある作品は地方にまでわざわざ行かない」とはっきりと言われました.地方だからこそ成立する建築を期待す

ると.東京と広島を比べた時に、気候条件が大きく変わるわけでは

ないので、求められているハードルは高いですね. 

そんな中、カメラマンの存在は大きいと思います.最初にモダンリ

ビングに掲載してもらった時はカメラマンが推薦してくれたお陰で

す.次の号でもモダンリビングに掲載して頂くことになっています.

 

>それは素晴らしい!

 

 小松ーモダンリビングとアイホームを定期購読しているお施主さ

んでしたので、喜んでくれて大変助かっていますw.

そもそも掲載してもらえそうな雑誌が年々減ってきている問題もあ

ります.モダンリビングさんもローコスト住宅は大人の事情で載せ

れないと言われました・・・しかし、依頼の多い同世代のクライア

ントの場合、建物にかけられるお金は 2000 万円くらいが一般的で、

ローコスト住宅になってしまいます.

 

8)チームをつくりたい

 

>メディアの存在を重要視する理由は何ですか?

 

 小松ーせっかく独立したのだから、住宅メインで終わるつもりは

なく、建築のスケールを徐々に上げて行きたいと思っています.今

は一人でやっていますが、昔からバンドのような、奏でる音の違う

メンバーが揃ったチームをつくりたいという想いがあります.面白

い人を呼び込むためには、自分が少しでも認知されて広告塔になら

ないと素敵なチームが作れないといった想いから、メディアに積極

的に売り込んでいます.

 

>これまた、意外な発言ですね.チームに拘る理由は何ですか?

 

小松:ひとつには、バレーボール、バンド、ダンスを経験してきて、

チームワークが得意なのとその面白さを知っているからです.

もう1つは大学院時代の研究が関係してきます.建築学会の大会に

毎年発表するほど本気で修士論文を書きました.分野としては設計

プロセス論になります.簡単に説明すると、「ブレインライティング」

と呼ばれているデザインや設計における発想をブレインストーミン

グする方法があり、その効果に関する研究です.具体的には、ある

お題に対して、グループ内で1分ごとにアイディアをどんどん書き

足していくことでブレストします.「ブレインライティング」をやっ

たグループとしなかったブループで比較したところ、やったブルー

プの得点の方が高いという結果がでました.さらに、注目するべき

点は、具体的な思考から始まって具体的な提案で終わったグループ

よりも、一旦抽象思考した上で、具象化に落とし込んだグループの

方が提案にダイナミックさが加わり、一様に得点が高かった点です.

 

>私も体験したことがありますが、メモ書きを回して行くので、発

言下手の日本人には向いているブレストだと思いました.また、案

外口に出して言わないだけで、人って普段から面白いことを考えて

いるものだな~とも.

 

 小松ー言葉って重要だなと思います.もっと言えば、言葉とカタ

チの間を往復することってとても重要だと思います.言葉としてま

とめられないと伝播して行いかない.そういった意味で著名な建築

家は建物をより魅力的に見せるための言葉選びや造語が上手だなと

いつも感心させられます.だからといってチームをつくって「ブレ

インライティング」をしようという訳ではないのですが、共創によ

るデザインをこれから目指していきたいと思っています .

 

>工務店とのチームワークとは具体的にどのようなことですか?

 

 小松ー先ほど、広島では上の世代の建築家の方々のお陰もあり工

務店の技術レベルが高いと話しましたが、工法や構造においても同

様です.県外の地方にいくと、木造以外は苦手といった工務店が多

いです.クオリティを担保するために、広島から指定業者を連れて

行くケースもありますが、そうすると何かトラブルがあった時に業

者は遠路はるばる駆けつけなくてはなりません.そのリスクを押し

付けるのは極力避けたいので、できるだけ現地の工務店の力量を考

慮して不得意なところを設計で補ったりするようにしています.

 

>設計者の腕の見せ所ですね.実例を紹介してもらえますか?

 

 小松ー例えば「伊予の家」は鉄骨造だとすれば普通に見えるかも

知れませんが、これは実は木造です.木造という選択肢しかなかっ

たのでw.木造としてみれば、結構新しい試みなんですよw.

開口部にブレースが入ることは避けたかったので、壁柱と庇の T 字

フレームでがっちり組んで持たすことができないかと考えました.

はじめは構造家もできないっていっていたのですが、「どうやった

らできるのか、方法を考えましょう!」と言いながら、何度もやり

取りを繰り返しているうちにアイディアが生まれ、実現しました.

 

>クライアントとの間では、どのようなエピソードがありますか?

 

 小松ー仕上げにこだわりがなくて、仕上げ関係はお客さんにある

程度自由に選んでもらいます.もちろん、アクセントになる部分は

こちらかもアドバイスをして調整はしています.打合せでは、冗談っ

ぽく、「必ず格好良くまとめますから、まずは好きな仕上げを選ん

でください」って安っぽいデザイナーみたいな言い方をしています.

たまにいじわる?なお施主さんが真に受けて、淡ーいピンクの面材

を選んできてくれます.もちろん、採用しましたけどw.

 

>なぜ仕上げにこだわりがないのですか?

 

 小松ー仕上げが構成を明快に表現するための手段であればよしと

しても、仕上げが主体となって作品を語るのは難しいことだなと

常々思っています.また、なんでもかんでもひとりで決めてしまう

とセレクトが偏ってしまい面白くないですから.

 

>最後に、初回のゲストメンバーであり、同じサポーズ出身の島谷

(ハンクラ)さんのことはどう思われますか?

 

 小松ー大らかでふわりとした建築をつくりますよね.同じ事務所

出身であれば何となく建築のテイストが似てくるような気がします

が、彼は今までにないテイストの建築をつくっています。敏腕な奥

さんの影響もいい意味であるのかもしれません.ハンクラさんや石

川さんの作品は、前回の TREES では「ニュートラル」という言葉で

説明されていましたが、独特の空気感がありますね.新しい潮流を

感じます.

 

>つづきは会場にて!長時間にわたりありがとうございました.

 

 小松ーこちらこそありがとうございます.楽しみにしております.

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